メガミドSS 嗜虐の果てへ
< 半身 - hemiplegic - >
Agnus Dei アニュス・デイ :佐伯克哉視点
昨日は立冬。
全国米菓工業組合によると「あられ・おせんべいの日」の日なんだって。御堂さんのお誕生日は、確か「招き猫の日」だった。なんか片桐さんとお友達ね、にゃんにゃん(笑)
お煎餅齧りながら、お茶でも。 〜旦_(゚◇、゚;)ノ~ アヂヂ!
申し訳ありません、今日もSS無謀オンラインうpです(^-^;;;;
無謀に眼鏡視点に初挑戦。
御堂さんを解放して、少し日が経ち、つまり「空白の一年」の初冬‥‥の予定でしたが、眼鏡に拒否られて変更。なぜか「嗜虐の果て」ルートへ参りま〜す。むわぁた暗いですっ!(Φ◇Φ;)
題名は<立 冬>の筈が、11月9日付けSSとなり、そしてまた派生した<消 息>は、11月16日日付SSそして、そのバリエが< Behind the Mirror >11月26日日付SSになりました(^-^;;;;
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メガミドSS 嗜虐の果てへ 佐伯克哉視点
< 半身 - hemiplegic - > 2稿
なぜすべてを奪いたかったか。 メガミドss < 半身 - hemiplegic - > 初めて彼を見た時、その姿は 今なら判る。 勝手な言い草だと笑ってくれ。 聞いて欲しいとは言わない。信じてくれとも。 そう、ひとり呟く声が掠れて消える。 額に落ちる髪をそっとかきあげ、血の気のない耳に唇を寄せる。 この声は、届いているだろうか。 ★ あの時、佐伯克哉が御堂という男に出会わなければ、今此処に、俺はいない。 誰に信じて貰えるだろうか。 いつ消えても不思議はなかった。 俺にとって、それがどんな時間だったか。 外界へ繋がるすべはなく、絶望すら疾うに忘れた。酔夢に喉を塞がれ、叫ぶことすら知らない。人生の何もかもが影よりも遠く、生温い皮膜の外ですり抜けてゆく。そんなもどかしく、気が遠くなるほどの時を、幾日幾年重ねただろうか。 誰も俺に気がつかない。 その俺をこの現実に引きずり出したのは、御堂孝典、あんただ。 でなければ、あの夜、奇妙な男に唆され、一度切り曖昧な自由が与えられた夜を限りに、全てが終わった筈だ。再び“オレ”の意識の底に沈み、二度と目覚めぬまま消滅していただろう。 かつての俺の半身。その男は、チャンスを与えられても生かす気力もなければ、ましてや機会を掴もうとする覇気にも欠けていた。他人を傷つけることに、いや傷つけることで傷つくことを極端に恐れ、自縄自縛に陥るだけの日々。 そんなふうに欠けたまま生きてきた人間が、人生で始めて出合った、衝動。 欲しいと思った。 それが俺だったのか、今は既に目覚めることの無い“オレ”であったのか‥‥もう判らない。 そのためなら構わなかった。 せめて、その視線に触れたかった。 願いは叶うと思った。 そうだ、捨てたのは俺だ。 俺のようにおまえも手放すべきだ、おまえ自身を。‥‥勝手に、そう思っていた。 味わうことなく過ぎていった過去。 目覚めの代償に、引き千切られて失った半身。 その欠落した空白を、あんたで満たしたかった。 愚かだ。 口をつく溜息に声が掠れる。 ただ、苦しかった。 軽蔑と憎悪で、幾度も俺を射抜いた視線。 そしてまた誰も俺を見なくなった。 幾ら身体を重ねても、求めても、あんたの中に俺はいない。 何処にも俺はいない。 それでもなお一縷の夢に縋っている。 どうしようもなく愚かで、手前勝手な願望だ。 ……だが、俺はもう失えない。 この腕の中にいる世界の全て。 あなたとあなたから与えられたものだけが俺だ。 この腕もこの胸もあなたを抱くために欲しいと思った。取り戻したかった。 背から抱き寄せたその首筋の上に、水滴がこぼれて、俺は自分が泣いていることに気がつく。 でもこれは、あなたのための涙じゃない。 人の心など持たない。 そこまで、俺は独りだ。
奪い尽くして満足できなかったのか。
オレの全てを一瞬に捨てさせた。
あんたは全部奪ったんだ、“佐伯克哉”から。
それまでの人生を。
そして未来のすべてを。
あんたの与り知らぬ話だ。
一体、どういう意味なのか、他人に説明できるはずも無い。
あんたも知りたくも無いだろう。
ただ、言葉にするのを許してくれ。
人形のような肢体を背中からそっと抱きしめる。
何の反応も無い。
光を失った瞳。痩せて肉の落ちた身体。低い体温。
けれど肌を寄せればあたたかい。
何もかもが無駄と知りながら、それでも。
それまでの俺は、人ですらなかったと。
もう一人の自分、その半身の片隅に封じられた半魂。存在というよりも現象と呼ぶに相応しい、ただ危ういもの。
ちっぽけな蝋燭に灯された焔のように。
皮肉だな。今のあんたになら判るだろうか。
もう一人のオレですらも。
あの刹那のぬくもりを最後に、汚れた泥のような闇に埋もれるままに。
それを誰も死とは呼ばないだろうが。
退屈な人生にすらただ怯えていた過去の“オレ”。
突き動かされるような欲望。
幾度もこうもあればと願った完璧な存在を見た。
あんただ。
ただ、この半身を犠牲にしても、それまでの過去の全てを捨て去ったとしても。この機会を逃がせないと固く信じた。
何を傷つけても、どんな罪を犯しても。
誰かに‥‥誰でもない、あんたに気がついて欲しかった。
俺がここにいることを。
叶わない筈などない。
引き換えに、俺は自分自身すら捨てたのだから。
自ら望んで手放しながら、なぜ奪われたと思い込んだのか。
取り返そうと藻掻いていた。すべてを。
俺の持たない何もかもを当然のように持つ男から。
衝動のままに。
幾度も聞いた押し殺した悲鳴。「私が私でなくなる」と。
そうだ、それでいい。俺もオレを失くした。
ただ、おまえだけの為に。
この手で貶めて、その身に溺れてゆけば、この焼けつく飢餓に似た空洞を埋められると信じた。
何を焦っていたのか。俺は元々欠けたまま生きてきたというのに。
なにが欲しいのかも判らないまま、溺れ、もがいて、剥き出しの爪のままあんたに縋って、その肉を抉り出し、傷つけた。
奪ってなお、何ものも満たすことが出来ず、すべてこの指先を零れ落ちていく。
俺のやったことは、引き裂かれた虚ろな心をもう一つ作り出しただけだった。
その強い瞳が、この手で光を失った。
同じ形をした空洞が、時に互いに共振するように、あんた中のその空虚が、この欠けた心のどこかと響きあうことがないかと。
分かっている。あんたを解放するべきだと。
これ以上、何も失えないんだ。
御堂孝典。あなたを失くしたら、俺にはもう何も残っていない。
奪われたのではない。
あの時、全てを与えられたのだと、なぜ気づけなかったのか。
それだけの筈だった‥‥。
自分を哀れんでいるだけの汚れた何かだ。
誰かのために泣くことすらできない。
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あっ、しまった、のっけから雄叫んぢゃったよ、眼鏡のバカ。ε=ε= (;^-^)
ちょっと、まってくれーっ! こらえ性のねぇ男だな、相変わらず(;^^A 出落ちですが、多少は量があるSSの筈なんだ。昨日と同じくらいは。じたばた。
で、いっつも誰かが自分でぐるぐるしてるだけっのお話ですね。はい、そのうち、まともな会話が成立するSSを目指します(;^^A 。
これ読むの疲れるよな‥‥、途中でちょっとインターバル抜かないとダメだ。この文章リズム音痴がっ!(ノ-"-)ノ~┻━┻ ・'.::・ :・ でもなかなかそれが難しい。ひー、こいつ、じゃじゃ馬だわ〜。(ΦдΦ;) やっぱり眼鏡出てくるともう振り回されてあきまへん。
ある程度、書く手が慣れたら、6月に言ってた世界一周あっちこっちメガミドSSをなんとか。それがこのblogの趣旨だった筈なのよ。<誰も待ってねえ(笑)
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執筆BGMは、勿論、バ行の腐女子様「ヤオイン」エンドレスw 目指せ100万ヒット!ヽ(^o^)ノ HOMOを描け〜♪腐海の真ん中で〜♪