あの人とここだけのおしゃべり。ができたらいいな
その作品を読まずに漫画家さんを語ってはいけないと思う。
でも敢えて言ってしまいたい。
惚れた。
その熱さに。
月並みな表現だけど、青い火のようだ、この人。
よしながふみさん。
「西洋骨董洋菓子店」のアニメを見、「大奥」を読んで気になっていた作家さん。
- 作者: よしながふみ
- 出版社/メーカー: 太田出版
- 発売日: 2007/10/04
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
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毎度、レビューのできないワタクシですので、内容についてはぜひAmazonのカスタマーレビューをご覧下さい。良いレビューが書かれてます。一言で言うなら、漫画家さんとの対談集です。
「創作秘話から、表現論、男女論、マンガヒストリー、個人的な萌え話まで……」って公式紹介が。あら、BLとやおい論がメインで、フェミトーク有りとは、公式は一言も触れてないのね(汗) 分かる人は分かるし、知らない人に手に取って貰うためには仕方ないか。
炎の青。メラメラと音を立てるわけでなく、赤く激しく揺らめきもしない。非常な高温で緻密に制御され安定しているからこそ、炎は青くなる。温度を持たないような透明感があり、日常の中で使いこなすこともできる、そんなキッチンの青い火。でも触れてしまったら思い知る。
一見、淡々として穏やかな佇まい。でも、この人は熱い。そのさらりとした語り口の‥‥しかし途轍もない志の高さに心服した、というか。
先月末に読んで今は手元にないので、曖昧な記憶での感想になるのですが‥‥やはり、書いておきたいなと。
私は多分、辺境にいる人たちが好きだ。そのジャンルのセントラルに位置する人、そのジャンルを背負う人よりも。いや‥‥、そう単純には言えないか。前者と後者って、非なるようで、一致することがある。そのものを体現しているからこそ、その枠を超えて成長してゆき、遂に収まりきれなくて、そのジャンルの枠を壊してゆくほどの人‥‥に惹かれてる。
でも、そういう方々に、こう言うと、きっと怒られると思う。
「●●というジャンルの枠を超えた‥‥」 って。
禁句、かもな。気軽に使われてる常套句の割に。
だって、そういう作家さんたちは、そのジャンルに命懸けて作品作っているんだろうし、そのジャンルをこよなく愛しているから。たとえ、その言葉が世間からは褒め言葉として語られていようと、それが賞賛であればあるだけ、その<ジャンル>が軽んじられてる証拠でもあるだろうから。
「少女マンガというジャンルの枠を超えた」 「BLを超えた」 「アニメなのに映画のようだ」
うん、失礼だな。
少女漫画は少女漫画で素晴らしいもん! 越えなくてもBLは魅力的だし、アニメはアニメのままでスゴイんだよ!
それでも。
そう言われる事を夢見ない作家もそうはいないと思う。そしてやはり、その枠を超えてしまう人間にしか出来ないことはある。そのジャンル(をより一般に認知させ、成長させる)の為に。
そ〜ゆう人は、外からも呼ばれて、結局引っ張り出されてゆくし。
で、よしながさんは、確実に“そういう人”なのだと思った。しかも、謙虚でありつつ、自覚的に。
おそらく‥‥この方が、意識的についている「嘘」(失礼。今は語れないこと、かな?)の果てを見たいと激しく思った。
★
私は特に、三浦しをんさんと、羽海野チカさんとの対談が面白かったのだけれど。
うん、三浦さんとは、何か以前から共通する匂いを感じていた(笑) なんだろう‥‥これ言うとよしながさんは違うと言うのかも知れないけれど、やはり啓蒙家としての才能があるとこかな。ジャンルを‥‥読者を育てる力のある人。まさに戦術家ではなく、戦略家だわ。怖いほど。
読むだに、なんというスマートでクレバーな方だと思うのだけど、よしながさんのそういう面、明晰な言葉を一番引き出している対談相手は、やはり三浦さんかと。さすがに言葉が本職である作家。この対談では、三浦さんはちょっとやんちゃなゲストを気取ってる気もするけど(笑) 恐らく、三浦さんがホストである対談になったら、また違う面を見せて貰えるんだろう。それも読みたいなw
「恋愛は米国と日本での一番の宗教である」
確かに。だから、その信者になれない自分はどうしたらいいのか?って、BLその他の面白いお話になるのですが。
いや、でも米国ってやっぱり世界一の(プロテスタント)宗教国家だと思うし‥‥日本の一番の宗教って、恋愛ぢゃなくて「仕事」と何より「萌え」ぢゃないでしょーか?(;^^A いや、ほんと、あらゆる面で「萌え」は信仰だろう(笑) 宗教ぢゃないかもしれないが‥‥ああ、でももう宗教化(組織・経済化)してるか‥‥コミケというお祭りもあるし、声優さんという現人神もいるし、巫女もいる(笑)
「あらゆる宗教はコンドーム(人口調整的な意味で)である」って私は思ってるんだけど、そう言う意味でも……(ってこれは長くなるからまたの話でヘ(。。ヘ☆\(-_-;)baki! )
★ ☆
羽海野チカさんとの対談。
実はこれを一番先に読んだの。友達がくれた雑誌の切抜きで。そして嵌った(笑) 話の“通じる”互いの心に染み込むような会話のできる二人‥‥なんという奇跡の関係、今ここにある幸福! う〜ん、この二人の関係こそ“やおい”かも(笑) ええ、この対談のメインは“やおい論”というか“正しい(?)やおいの定義”かな? 「山、落ち、意味なし」ってわけぢゃなくてね。性描写でなく、男女限らず、関係性なのよ、やおいで大事なのは!
「彼氏は居るけど、私はあの女に軽蔑されないかが一番の問題なんだ」ってな関係。そうそう、そうなのよっ! それに男は一番ビビッてしまうんだろうけれど(笑)
そして、またやおい、BLでなら「職業」が描けるって処に、深くうなずいたわ。(少女マンガは出版社的制約が多いってのを別にしても) 「ハチクロ」のヒットの秘密にはそれがあるって、よしながさんの指摘は鋭いっ。登場人物たちは、どんなに恋愛にナイーブに悩んでいても、誰一人、仕事は投げない。自分の職務に忠実でない人間は居ないんだ、ハチクロには。そうなの、これが日本人の心を掴んだのさ!
「鬼畜眼鏡」ヒットの一因にもそれもありって思うよ、いやまぢ。リーマン物が好きってのは、スーツ萌えだけぢゃない(笑) 仕事してる男っていいよね。女はもっと素敵だ!
私の手袋萌えだって、やっぱり職業の道具としてのアレがあるからよ‥‥ヘ(。。ヘ☆\(-_-;)baki!
★ ☆ ★
そして、最後に萩尾望都さんとの対談。
これは、描き手というより、読み手としての鋭さ、素晴らしさを見せて頂いた。萩尾さんのSF作品のある傾向を読み解いた言葉には、確かにっ!と膝を打ったわ。萩尾先生も「そういえば。それはどんな評論家にも指摘されたことありません」とご自分でも驚いてらしたくらい。
君、伯牙(はくが)の鐘子期(しょうしき)たるや?
「知音」という言葉があるけど、まさにそれ。これだけ、深く鑑賞されたら作家冥利に尽きるなぁ。よしながさんて、なんという鐘子期の耳目と舌を持っていることか。しかもこの人は伯牙の才能もあるわけで。
自分の書き手としての才能には殆ど絶望しているが、せめて読者、視聴者として、作り手を触発するような読み方、見方ができたらいい、と改めて思ったのだった。
★ ☆ ★ ☆ ★
うわ、そう言いながら、またしょーもねぇ感想ってか、ワケのわからない萌え駄々漏れ語りをダラダラ書いてしまった(;^^A
ダダ漏れ感想‥‥と言えば(笑) 先々月に観た宮崎アニメ「崖の上のポニョ」の感想‥‥感動の余り、(ええ、私、もう中盤から爆涙してたよ。ラスト号泣(笑) 我ながら変人だよ。宮崎信者と罵ってくれて上等だ!)えっらい(変態な)感想になっていたので‥‥頭冷えたら書き直そうとお蔵にしてましたが‥‥うーん、書き直しようがない(笑) でも、いっか。取り合えず晒す(;^^A 正気ぢゃないよ。ものすご〜〜っく、お暇なら止めませんが(;^^A
http://d.hatena.ne.jp/kokuriko-fufu/20080909
ええ、多分、私はそこに「ナウシカ」の結末を見ていたのよ、多分。